« 2007年10月 | メイン | 2007年12月 »
こんにちは。前回より2週間以上あいてしまいました(汗。
まあ、遊んでいた訳では無くて、年末にかけて割と忙しくこっちにまで手が回らなかった、と言うのが正しいのですが。
前回までで大体分解が終わりましたので、仕込みと組み立てに入ります。
今回は土台となる「面金の仕込み」を紹介します。面金は顎・内輪部品だけでなく面布団まで固定する土台になる、まさしく面の基礎と言ってもいい部分ですのでしっかりと組み立てる必要があります。
まず、仕込みに入る前に、前回最後で外し終わったチタンの面金を洗って汚れを良く落としておきます。それから、土台となるクッション部分をつけていきます。
私はこうした荒めの麻紐をまとめたものを使っています。多いのは藁を束ねたもの、韓国製や中国製の安いものですと編み込みのナイロンロープを使っているものもあります。
これを面金の輪の部分に当て込み、ほぐしたナイロンテープを巻いて固定していきます。最後に固まりが出来ないように処理して、土台の下地作りは完成です。
下巻きが終わった土台です。これから更に紺生地をその上から巻きつけます。
右が巻きつける紺生地です。幾重かに重ねた藍染生地を面金に合わせて輪にしたものです。これを巻き込むように縫い止めます。
当店の仕込み(と言うか私が教わった仕込み)がかなりしっかりしたやり方であるのは間違いない所です。他の所では藁束を巻くのに生地を使って巻く事で、下巻きと生地巻きを同時にする形の方が多いです。
藁でなく麻を使うのは麻の方が丈夫だからです。藁製の中芯は水分の入り方や経年による劣化で腐食しやすい為、面の中芯を可能な限り丈夫に作るように心がけた結果でもあります。
さて、次回も仕込みを進めるつもりだったのですが、その前にちょっとした告知他寄り道をしますので、今しばらくお付き合い下さいますよう御願い致します。
こんにちは。田原剣道具店WEB担当田原です。
「面・仕立て直し」作業第3回目、予定通り面の「分解」作業の後半を紹介したいと思います。
まず、面布団に縫い付けたままの縁皮を外していきます。
このように、出来る限り面布団を傷つけないように止め革を切り取りながら、面布団の側に残した縁皮を外していきます。
縁皮をすべて取り外した状態の面布団です。使い込まれた防具には仕立てた時の形状もさる事ながら、使用した人の型が残ります。
その為、分解しても面布団は素の状態には戻りません。
次は布団以外の部品を分解していきます。具体的な手順としては、内輪>天地>面金側に残った縁皮の順に外していき、最後に面金と顎を取り外す事になります。
面金・内輪・天地・顎をすべて取り外した状態です。今回は汗の入りも少ない為、これらの部品はそのまま使います。ただし、面金に巻かれている土台や、顎裏の付け根などは補強・交換します。
と言うのは、顎裏や面金の土台は、汗などでどうしても一番負荷がかかる為です。今回は顎裏を革を当てて補強、土台は一から巻き直す事になります(通常の仕立て換でも、土台は再利用を考えません)。
土台の表生地を外し終わった後の面金です。白く見えるのはナイロンロープを伸ばしたもので、芯になっているのは麻紐です。
面金は面の全部品の取り付けの基盤になります。その為、輪の部分に藁など(当店では麻紐)を取り付けて土台を作ってあります。この土台も取り外します。
全部外し終わった後の面金です。チタン製と言うのもあってか、殆ど痛みなどはありません(少し錆がういている所はありますが)。
仕立て直し(に限らず分解含む修理)の際、どうしても「開けて見たら使えなかった」という状態が判明する事がございます。面ですと汗がたまりやすい内側の部品(特に古い鉄面金ですと汗で錆る為輪の部分が腐食しきる事がありますし、初期の軽合金製の面金ですと輪の部分が折れている事もあります)などにこうした事が多いです。
修理のご依頼の際、そういう事もあると言う事を念頭においていただければ幸いです。